「わさびテロ」
秋も深まってきて、外国からのお客様も増えてきますね。
文化も言葉も考え方もちがう日本に来て、異文化を楽しむ余裕もあれば、
時にはトラブルが発生することもあります。
少し前にニュースにもなった「わさびテロ」も、その一つでしょう。
外国からのお客様から、「もっとワサビを入れてほしい」と言われることが多かったので
最初から大量のワサビを使ったことから、「嫌がらせ」と受け取られてしまったのです。
このトラブルの真相は分かりませんが、言葉が通じないことから、相手の気持ちを(勝手に)想像し、
先回りしたサービスが大失敗だったのですから、残念なことです。
「うちの店はネタの味を充分に引き立たせるサビしか入れません、でも、あなたは食文化の違う国から来られたから、ワサビの味が必要かもしれませんね。 ただ、私はネタの旨みが充分に伝わらないのではないかと、残念な気持ちでいるのです。」
「私の国では生の魚は食べないのですが、やっと訪れた日本で、代表的な寿司を食べたくて来ました。少し抵抗があったのですが、わさびがあることで、生魚もとてもおいしくいただけましたよ。」
「そうですか、よくいらしてくださいました。次からは、あなたがちょうどいいと思うワサビを使えるように別添えにしておきましょう。ぜひネタの新鮮な美味さも、ワサビを減らしてトライしてみてほしいです。」
「ありがとう、やっぱり日本の寿司を食べに来てよかった。次回はワサビを減らしてトライしてみますね。」
勝手に想像した会話ですが、このようなやり取りは、
言葉が通じないときは、身振り手振り等で時間がかかるコミュニケーションになりそうです。
お互いの気持ちを受け取りながらのやりとりは、時間をかける心の余裕も大事なんですね。
相手に歩み寄る工夫と、相手の反応が相手のペースで出るのを待つという姿勢は、
外国からのお客様に関わらず、身近な家族、友人、仲間とのコミュニケーションにも
通じることだと思います。
ところで、最近は、わさびだけを、別盛りにして提供することで、個人差のある嗜好に対応することもあるようです。
そんな環境の整え方や配慮にも、コミュニケーションのヒントがありそうです。
気持ちが伝わるコミュニケーションが日常にあると、
多様な個人レベルの文化交流も進んだ日本になって行くのではないかと期待するのです。